閉塞性動脈硬化症、虚血肢に対する血行再建

動脈疾患では、動脈硬化による血管内腔の狭窄や閉塞により血流障害を生じる閉塞性動脈硬化症が治療の対象となります。閉塞性動脈硬化症になりやすい危険因子は、高齢、糖尿病、高血圧、喫煙、高脂血症、透析などが挙げられます。 症状としては、下肢の冷感や色調不良、間欠性跛行(数百メートル歩行すると足が痛くなるが、休むとまた歩けるようになる症状)があげられます。放置すると病変の進行に伴い下肢に潰瘍が生じ、感染を併発すると敗血症を来たし命に関わるため、救命目的に下肢切断を行う場合があります。突如悪化する場合もありますが、多くは上記の下肢冷感や間欠性跛行を以前から認めることが多く、その時期に受診することをお勧めします。しかし、十分な歩行が困難な高齢、透析患者様は、発見が遅れることが多く重症化しやすいという特徴があります。当院では透析患者様の入院が多く、毎月フットチェックを行い、足趾の悪化の早期発見に努めております。また閉塞性動脈硬化症の患者様の約40%に狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患、約10%に脳卒中などの脳血管疾患を合併すると報告されています。
    • 当科受診時には、頸動脈エコーや心臓エコー、場合により冠動脈CTを施行してrisk評価も致します。
動脈硬化は決して一部の血管だけではなく、全身の血管に悪影響を及ぼす元凶です。
    ですから全身の血管管理(Total Vascular Control)が重要となります。当科の特徴は、動脈疾患に対してカテーテル治療とバイパス手術の両方が選択できる点です。

治療法

1:カテーテル治療(EVT:EndoVascular Treatment)
X線透視下でガイドワイヤーとマイクロカテーテルを用いて閉塞病変を開通させて病変を治療する方法です。病変部をバルーン(風船)で膨らませて血管を拡張し、ステント(金属製の筒)を留置します。透析患者様は血管経が1.5mmほどしかない膝下の血管に病変を認めることが多く、その場合でも当科は積極的に治療を行います。
2:バイパス手術(解剖学的bypass、非解剖学的bypass、distal bypass)
以前から行われていた治療法です。人工血管や自家静脈(足の静脈)を用いて、病変部を飛び越えてバイパスし、足先に血液を流す方法です。 バイパスの経路、つなぐ血管の場所によって上記の名称があります。新たに血管を再建するので、血流量の増加が期待できます。 当科では足部の潰瘍や壊死に対してdistalbypassも積極的に対応致します。
治療後は、生活習慣の見直しも重要です。先ほど挙げた危険因子を減らす生活を送りましょう。
3:ハイブリッド手術
カテーテル治療とバイパス手術の両方ができる当科に特徴的な治療法です。外科的に血管病変を 治療し、同時にカテーテル治療を行う手術です。
    当科で治療後は、足部に潰瘍がある場合は当院のフットケアチームで全身状態を改善させ創傷治癒にあたります。

治療実績 2019年1月~2019年12月 総数:64例

カテーテル治療:48例・・・CLI26例(54%)
腸骨領域:4例 大腿領域:21例 膝下領域:28例(58%)
バイパス手術:16例・・・CLI13例(81%)
大腿動脈交叉バイパス術:1例
右腋窩動脈-右総大腿動脈バイパス術:1例 右腋窩動脈-両側総大腿動脈バイパス術:1例
総大腿動脈-膝上膝窩動脈バイパス術:6例 総大腿動脈-膝下膝窩動脈バイパス術:2例
(下腿・足部バイパス術:6例)
総大腿動脈-腓骨動脈バイパス術:1例
膝下膝窩動脈-前脛骨動脈バイパス術:1例 膝下膝窩動脈-後脛骨動脈バイパス術:2例
膝下膝窩動脈-腓骨動脈バイパス術:1例 膝下膝窩動脈-足背動脈バイパス術:1例
ハイブリッド手術:3例
総大腿動脈内膜摘除+EVT:2例
人工血管血栓除去術、パッチ形成術+EVT:1例

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