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血管外科

当科はCLTI(包括的高度慢性下肢虚血)に対して血管の治療だけでなく足全体の治療を行っております。下記ボタンから治療方法をご覧ください。

血行再建術

血行再建術にはカテーテル手術(EVT)とバイパス手術(bypass)があります。一般的に、局所麻酔で治療可能なEVTは循環器内科、全身麻酔が必要なbypassは血管外科が行います。それぞれの術式には向き不向きがあり、患者さんの全身状態や傷の程度、血管の解剖学的特徴から術式を決定致します。当科は血管外科でありますがEVTとbypassの両方の術式に精通し、両者を組み合わせたハイブリッド治療も行うことができます。

2023年までに224肢のCLTI患者さんに対して、EVT 151肢(67%)、bypass73肢(33%)を行っており、患者さんに侵襲が少ないEVTを多く行っております。また近年は糖尿・透析患者さんの増加に伴い、下肢血管病変も複雑化しております。特に足関節以下の足部血管(足背動脈・足底動脈)に閉塞を来すpoor run-off病変といった、治療が大変難しい症例も増えてきました。このような患者さんはNo-option CLTIと呼ばれ血行再建ができずに下肢切断が行われてしまいますが、当科ではDVA(深部静脈動脈化)と呼ばれる術式をEVTやbypassで行い大切断回避に努めております。

1.EVT:閉塞した血管にガイドワイヤーを通してバルーンで拡張する方法

長期開存を目指すために最近は薬剤でコーティングされたバルーンやステントを用いて治療しています。

2.Bypass:足から静脈を採取して血管をつなぐ手術

EVTよりもbypassの方が、血液供給量が多いので大きな傷には有効な治療です。(写真の矢印部分がバイパス)

足背動脈吻合例

後脛骨動脈吻合例

3.DVA(Distal venous arterialization):足部静脈を動脈化する方法

足部動脈が荒廃したpoor run-off病変に対して行う治療です。

① Surgical-DVA:傷に近い静脈にバイパスして動脈化する

② Percutaneous-DVA:カテーテルを用いて
 動脈と静脈に瘻孔を作って動脈化する

創傷管理

足の腱や骨が見えるほどの深い潰瘍や、真っ黒に壊死した傷は放置しておくと感染を併発して敗血症を来し、命の危険が迫ります。そうならないためにまず速やかに確実な血行再建術を行い創部に血液を供給して、傷の治療を行う必要があります。

感染した潰瘍や壊死組織は残念ながら残しておくことはできないので切除しなければなりません。当科は必要最小限の組織のみ切除して、歩行機能温存に努めます。切除後はパルス洗浄という特殊な洗浄を行って創部を無菌状態にして、可能な限り傷を閉鎖致します。以前は閉鎖せずに治療しておりましたが、創傷治癒に時間がかかり、理学療法の開始が遅れておりました。閉鎖することで理学療法を早期から開始でき、結果入院期間の短縮を可能としております。

入院時

足部切断(TMA)後1ヶ月

疼痛管理

足の傷、特に虚血性潰瘍の痛みは夜も寝られないほどつらく、耐えがたいものであります。その状態で足の傷の治療を行うことは想像を絶するものであります。その痛みに対して痛み止めの内服薬や注射では管理することが困難なことが多いです。

当科では患者さんの足の痛みが強い場合は、カテーテルを坐骨神経付近に留置して持続神経ブロックを行ったり、神経挫滅手術を行い疼痛を限りなくゼロにするように努めております。
痛みを取らなければ効果的な創傷治療はできません。

補助療法

足の難治性潰瘍は複雑で、血行再建と創傷治療を行ってもなかなか治癒に至らない場合も存在します。特に傷を閉鎖できない場合は、解放した状態で3ヶ月以上治療を継続することが多く、患者さん・ご家族にも大きな負担をかけてしまいます。そういった場合、創傷治癒を促す手段として補助療法があります。補助療法は未だ確固たるエビデンスはないですが、実臨床では有効なことも多く当センターでも積極的に使用しています。

数ある補助療法の中で当センターは、①局所陰圧閉鎖療法(NPWT)、②LDLアフェレーシス、③OASIS(ブタ小腸粘膜下組織由来コラーゲンシート)、④コラテジェン(HGF遺伝子治療用製品)を用いております。

難治性潰瘍に対する治療としては総合力を必要とするため、こうした補助療法の知識も必要です。

理学療法

理学療法は傷の治療を行った患者さんが歩いて自宅退院できる、そして傷を再発させないためにも必要不可欠な治療です。入院時に足の傷の状態に合わせ、術後早期からリハビリできるように装具を準備します。創閉鎖できた場合は術後1週間以内に装具をつけて歩行訓練を開始しています。そして2週間ごとに心大血管リハビリカンファレンスを行い、患者さんの理学療法の進行具合、問題点を話し合います。

退院の目途が立った時点で屋内用・屋外用のフットウエアを、足圧分布装置を使って傷に負担がかからないように作成します。退院後も外来リハビリを継続し、足圧check、傷の再発の評価も行っております。また下肢切断患者さんの理学療法は基本的には義足作成・歩行獲得を目標に行っております。心大血管カンファレンスで理学療法の方向性を決めるだけでなく、患者さん・家族、ケアマネージャーも交えたカンファレンスで退院後の生活のフォローも総合的に行っております。

フットケア

当院の外来・入院透析患者さんは1か月ごとにフットチェックを行い、傷の早期発見に努めております。
また再発の危険が高い患者さんの陥入爪、爪甲肥厚、爪白癬に対してはニッパーやグラインダー、ミスト式フットケアドリルを用いて爪の治療を行い、胼胝や足趾変形、外反母趾に対しては除圧指導を行い、フットケア全般を行っております。

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